イノセントペイルブルー

最終話 Good-bye to Brilliant white days -Closing-

六、 「クッソ、やられた。またかよ……!」「しかも前回より性質が悪くなってますね」 悪態をつく志登の横で、冷静に雷山が指摘した。前回は組織を外れる意思表示をしたうえでの単独行動だったが、今回は退職の意思表示は見当たらなかった。しかし、居場所…

第四話 Good-bye to Brilliant white days -Opening-

四、  ――その日のことはきっと忘れられないだろう、と松本は言った。 「最近、動きがきなくさい」「? なんのです?」 ある日の夕方、いつもの通り六条院が隔離されている療養所までやってきた松本はその日あったことを話していた。その中で唐突な六条…

第三話 Outcry, sorrow and Prey -10 months ago-

三、    ――雨上がりに日が燦燦と降りそそぎ、不快指数が高かった。    毎月、傾斜のついた砂利道を歩く。もう十回目になればこの道にもいい加減慣れてくるはずだが、一歩一歩踏みしめるごとに身体が重たくなった。仕事であれば大したことないと一蹴…

第二話 Who is the monster?

二、 ――その日は夏前の肌寒い雨の日だった。 出勤した久家と徳永を待っていたのは殺人容疑で逮捕された被疑者の取調べだった。日勤のシフトで出勤してすぐに受けるには重たい事件であり、久家はげんなりとした顔をしたが、徳永は涼しい顔で「わかりました…

第一話 Stand up, everyone!

一、 ――その日は、春のおだやかな陽気に満ちた日だった。「いよいよねえ」「いよいよだなあ」 自警団〈アンダーライン〉第三部隊執務室にて仕事をする二人の男が言葉を交わす。今日は新人隊員の入団式と別部隊から異動してくる隊員の着任式が行われる日だ…