第二話 異邦の地
二、 数日後、執務の間の時間が取れたということで、メルは女王の招きに応じて彼女の私室を訪れていた。まだ正式な婚約者とも言えない段階で一国の女王の私室に入ってもよいものかと気が引けたが、サンドラの「大丈夫ですよ。陛下もこの国の重臣の方々もその…
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第八話 蒼茫の彗星
八、 満碧が菊名橋家に戻って一週間が経過した。警察署での聴取も完了し、ようやく日常が戻ってきた。 一方汀夏の解呪はというと、そちらも満碧が荒魂から授けられた札を使うことで、順調に完了した。解呪の最後に、満碧は荒魂の感謝の声を聞いたよう…
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第七話 黎明の道標(下)
さかのぼること数日。 屋敷を出た汀夏が向かった先は、西園寺の許嫁が暮らす角倉家である。西園寺は、許嫁の高等女学校卒業を待って、角倉家に婿入りする予定だという。 角倉家は、由緒ある公家の分家であり、家の格も非常に高い。現在は帝都一帯の警察署…
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第六話 黎明の道標(上)
一方その頃、汀夏は松白家を訪れたものの、門前に立っていた使用人によって、追い返されてしまい、恩加島とともに車で元来た道を引き返す羽目になっていた。 頑なに「お引き取りください」としか言われなかったことを鑑みるに、満碧が松白家にいるのはほぼ…
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第五話 暗愁の決意
五、 急いで自宅に帰宅した汀夏を迎えたのは驚いた様子の恩加島だった。帰宅の挨拶をする間も惜しんで「満碧は帰っているか」と訊ねる汀夏に恩加島は目を白黒させた。「いえ、まだお戻りではございませんが……喧嘩でもなさったのですか?」 事情を知…
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第四話 アザレアの失踪
満碧が汀夏とともに神祇省に通い出してから数週間経過した。季節はすっかり移り変わり、セミの鳴き声が聞こえるようになった。 この数週間のうちに、満碧は自分自身で見積もっていた以上に、文献を読み解き、考えることが楽しいということに気づいた。学が…
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第三話 氷菓子の行方
三、 満碧が菊名橋家にやってきてひと月が経った。勤めから帰ってきた汀夏に対して呪いの浄化を行う以外は、平穏な日々が続いている。生まれてこの方、自らの能力を使ったおつとめばかりしていた満碧からすると、それはとても新鮮だった。加えて実家のよ…
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第二話 夜半の残菊
二、 ――この運命からは死んでも逃れられないのだと思っていた。 ○ その日の夜、私室にいる汀夏のもとを満碧が訪ねてきた。昼間、部屋を辞したのち、急ごしらえで形代と木札を作ったという。気休めかもしれないが、今ある呪いの一部を浄化する…
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第一話 真珠と燐葉石
――この決めごとからは一生逃げられることができないのだと思っていた。○ 毎日同じことの繰り返しだった。「浄化の儀を執り行います松白御園(まつしろみその)が長男、満碧(まお)でございます」 清めの香がたかれた祓殿で、満碧は畳に手をついて深く…
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第一話 南へ
きらびやかな金の装飾が施された宮殿、白亜の壁、天井からぶら下がるガラスの照明。 そのすべてがメルにとって目新しかった。南国というのはこうも豊かなものなのか、とうらやむ気持ちもあったが、すぐに仕方のないことだと割り切ってしまった。そう思わな…
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閑話二 新春一番!煩悩千本祓!
「江角くん、一月一日って空いてる?」 国屋から不穏な確認が入ったのは十二月の上旬だった。S県においては曇りないしは雨の日が増えており、本格的な冬の訪れを感じ始める時期である。「はあ、今のところ空いてますけど……また何か面倒事ですか」 警察官…
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閑話一 ■■の婿取り
「お兄さん、ちょっと教えてくれんね?」 休日、立ち寄ったコンビニにて、耳なじみのない言葉で声をかけられた江角が振り返ると、和服を身につけた若い女が立っていた。珍しい装いと砕けた口調に江角は面食らう。交番勤務だったころならまだしも、あまり人当…
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