アンダーライン

アンダーライン舞台設定

★舞台★世界の東端に位置する都市国家<ヤシヲ>。<世界を滅ぼす>大戦の後に成立した都市国家であり、法治国家として通常の国家と同様に存在している。国は以下の四つの地区より構成される。【中枢】地区自警団をはじめとする国の…

最終話 Good-bye our sweet stray dogs 後編

星野を証人保護施設に送り届けたのち、休日出勤なのだから早く帰れと〈アンダーライン〉隊舎を追い出された六条院は特に行く当てもないまま、真っ直ぐに自宅に帰った。会議、星野との対話や送迎であっという間に時間は過ぎており、自宅に着いたときには、あた…

最終話 Good-bye our sweet stray dogs 前編

五、――その日は春の手前の肌寒い日だった。「〝ノライヌ〟と名乗る集団を知っているか」「……?」隊舎にて、出勤してきたばかりの松本へ六条院から唐突な質問が投げかけられた。松本はロッカールームから持ってきた腕章を装着しながら首を傾げる。「いえ、…

第四話 Eternal Dolls

四、――その日は晩秋の小春日和だった。「――集団自殺?」あまり耳にしたくない単語を朝から聞かされて、松本は眉をひそめた。松本に話を持ち掛けた櫻井は、手元の資料に目を落とす。「はい。最近ちょっとずつ起きてるんですよ。集団といっていいのか微妙で…

第三話 Ennui Twins

三、――その日は夏の終わりの曇天だった。「……夏も終わりなのにまだ暑いな」松本の出勤時間は一定だ。感覚が鋭すぎてハンデになってしまう時もあるが、基本的に健康優良児である彼は毎朝五時半には起きる。その後、調子を確かめるようにランニングに出るの…

第二話 Moonshiner

二、――その日は梅雨の合間の貴重な晴れの日だった。「ただいまー」夏本番はまだだけど暑いな、と言いながら松本は、その家の引き戸を開けた。実に八年ぶりの我が家だ。本日が公休日となっている松本は、【住】地区二十番街〈ウプシロン〉に帰っていた。【貴…

第一話 Fluorite(CaF2)

一、――その日は雲一つない晴天だった。「本日より第三部隊副隊長を務めます松本山次《まつもとさんじ》です」 どうぞよろしく、と三十名ほどの隊員の前で頭を下げたのは、二十代半ばの若い男だった。小麦色の肌に鳶色の髪、そしてハシバミ色の目が印象的な…