最終話 Good-bye to Brilliant white days -Closing- - 4/4

 
エピローグ ――After Kuga has come back
 
「え、」
 復帰した久家を迎えたのは隊長が変わった、という知らせだった。異動ではなく完全に隊を辞めたという状況に思わず「オレのせいですか」と訊ねてしまい、その場の全員にため息をつかれたのは、後日笑い話になる。
「あんたの怪我くらいでいちいち辞めてたら、隊長になる人いなくなるから心配しなくても大丈夫よ」
 苦笑しながら徳永がつっこんだ。
「てか、こいつほんとに松本の言う通りの反応しててすげえな。あいつよく隊員のこと見てたんだな」
 ほらこれ、と言って久家に手紙を差し出したのは志登だった。
「なんですかこれ」
「松本からのありがてえ言葉だろ」
 俺は読んでねえから知らね、と言って志登は手紙を久家に押しつけると、すぐに自分の隊がある階へ帰って行った。
「読まないの?」
 手紙を握ったまま立ち尽くす久家に徳永が訊ねた。
「後で読みます。……多分、今読んだら仕事にならない気がするんで」
「うん。好きなタイミングで読んだらいいよ」
「隊長が見舞いに来てくれたときには何も言われなくて、ちょっと仲間外れにされた気持ちだったんですけど」
「うん」
「でも、この手紙をわざわざオレのために残してくれたってことは、隊長の意図は違うって理解できましたし」
 噛みしめるように言う久家に徳永は「ちょっと大人になったね」と声をかけ、久家は照れ臭そうに笑った。
「あ、そうだこれ書くように浦志隊長から預かってたんだ」
 徳永はそう言うとホログラムディスプレイに労災の申請書を映し出した。
「え、これ書くんですか?」
「当たり前でしょ。あんたが入院してたから先に伸ばされてただけで、書かないとその間の給料出ないんだからね」
「え、ええー……」
 入隊したときとまるっきり同じだ、と思いながら久家は徳永から申請書を受け取る。松本からの手紙は白い封筒に入れられたまま、久家によって鞄の中に丁寧にしまいこまれた。