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第二話 Moonshiner

二、――その日は梅雨の合間の貴重な晴れの日だった。「ただいまー」夏本番はまだだけど暑いな、と言いながら松本は、その家の引き戸を開けた。実に八年ぶりの我が家だ。本日が公休日となっている松本は、【住】地区二十番街〈ウプシロン〉に帰っていた。【貴…

第一話 Fluorite(CaF2)

一、――その日は雲一つない晴天だった。「本日より第三部隊副隊長を務めます松本山次《まつもとさんじ》です」 どうぞよろしく、と三十名ほどの隊員の前で頭を下げたのは、二十代半ばの若い男だった。小麦色の肌に鳶色の髪、そしてハシバミ色の目が印象的な…